空の湯の過ごし方<第7話> 空の湯ペダル GoTo山形おいしい空港編(3)
- 2020年11月19日
翌朝は6時に起床。喜多方では朝っぱらからラーメンを食べる”朝ラー”が普通なのだ。人気店ともなれば開店30分も前から並んでいるので出遅れてはならない。今日のターゲットはあべ食堂。切れのいい醤油スープに歯ごたえの良いちぢれ麺が人気の老舗のラーメン店。公式には7時半開店だが、ホテル支配人の情報によると7時ぐらいにお店を開けるらしい。そこで、6時50分に行く作戦。場所はホテルからすぐ、100mぐらい。既に2名先客がいる。しばらくするとどんどん人が集まってきて、あっという間に裏の駐車場まで列ができてしまった。列に恐れをなして引き返す車も多数。「ふふっ、勝ったな。」へんな優越感を感じたところで、情報通り7時過ぎに暖簾がかかって入店。評判通りのおいしいラーメンは今日のエネルギーとなったのだった。
さて、お腹もいっぱいになったことだし、そろそろ出かけるとしよう。本日のルートは喜多方から寒河江までの105キロ。R121を米沢に抜ける峠が難所が最初に待ち構えている。逆にこれさえ過ぎれば楽勝だ。
足の調子は少し良くなった・・・というより慣れたのか? 人間の体というものは不慣れなことをする(命ずる)と拒否反応がおこり、痛みで抵抗してくるが、3日も続けると体が諦めて順応してくるものだと思う。今日あたりは少し楽になってきた。
スタートから20キロで頂上、後は下りというのがありがたい。本日の最高気温は37度の予報。関東地方では40度超えが連発らしい。足が大丈夫でも熱中症が心配だ。
スタートから20キロで頂上、後は下りというのがありがたい。本日の最高気温は37度の予報。関東地方では40度超えが連発らしい。足が大丈夫でも熱中症が心配だ。
ホテルを出て風情のある街並みを抜け、R121に入ると幅の広い3キロの直線道路が待ち構えている。ずーーーと向こうまで上り坂。悲しい現実。こういう時は前を見ないで風景を楽しんで現実逃避。
坂が緩くなると最初のトンネルが出現、
向坂トンネル、354m
次は明ケ沢第一トンネル、139m
そして明ケ沢第二トンネル、319m
弥平トンネル、332m
日中トンネル、951m
向坂トンネル、354m
次は明ケ沢第一トンネル、139m
そして明ケ沢第二トンネル、319m
弥平トンネル、332m
日中トンネル、951m
ハアハア(汗)
もういい加減にしてくれ!
もういい加減にしてくれ!
更にトドメの一撃
「虹のトンネル、7箇所3キロ」
がーーーーん!
「虹のトンネル、7箇所3キロ」
がーーーーん!
不動トンネル、633m「赤」
地蔵トンネル、253m「黄」
石楠花トンネル、106m「黄」
大倉トンネル、508m「緑」
探トンネル、130m「青」
御手窪トンネル、325m「青」
高倉トンネル、127m「紫」
地蔵トンネル、253m「黄」
石楠花トンネル、106m「黄」
大倉トンネル、508m「緑」
探トンネル、130m「青」
御手窪トンネル、325m「青」
高倉トンネル、127m「紫」
看板の色が違うだけだけど、全然、7色じゃない!
そして仕上げは大峠トンネル、3,940m!!
そして仕上げは大峠トンネル、3,940m!!
やったー!ヲワター!
トンネルぜんぶで13箇所、約8キロ。ちなみに橋は20箇所、約2キロもあった。
それにしてもこの峠の名前、大峠と言うらしい。全くひねりがない。今でこそ広くて快適な道路だが、古くは米沢街道と呼ばれ、崖にへばりつく細道が続くつづら折りの難所だったそうだ。橋から谷底を見ても旧道の過酷さは想像ができるほどで、まさに大きな峠。
ここにトンネルを掘って橋を掛けた人は本当にすごいと思う。
それにしてもこの峠の名前、大峠と言うらしい。全くひねりがない。今でこそ広くて快適な道路だが、古くは米沢街道と呼ばれ、崖にへばりつく細道が続くつづら折りの難所だったそうだ。橋から谷底を見ても旧道の過酷さは想像ができるほどで、まさに大きな峠。
ここにトンネルを掘って橋を掛けた人は本当にすごいと思う。
峠を下ると気温も35℃まで上がってきた。道の駅なごみの郷でスイカで水分補給。自分へのご褒美。これが美味い! これだから自転車は止められない!
まだ10時前だが本日の業務終了。朝ラーは全部消化され、消えていった。あとは宿にたどり着いて、洗濯すれば良いだけ。
小一時間休憩してから再び始動。まっすぐ行けば米沢市内だが手前で左折、最上川沿いに寒河江を目指す。緩やかなアップダウンが続く広い道路は交通量が多いが路肩も広いので走り易い。しかし、道路が広いってことはアスファルトも広い、直射日光を遮るものもない。こんなときに晴天。無駄に晴天。ダメな晴天。たちまち気温は36℃。体感温度はそれ以上。
「暑ちぃ、死ぬぅ。」
大量の水と大量のアミノバイタルが生命線だ。本日の宿まで、後5キロ、ついに温度計が37℃になった。
「もうユ・ル・シ・テ・・・」
朦朧としてホテルに倒れ込んだ好一だった。
小一時間休憩してから再び始動。まっすぐ行けば米沢市内だが手前で左折、最上川沿いに寒河江を目指す。緩やかなアップダウンが続く広い道路は交通量が多いが路肩も広いので走り易い。しかし、道路が広いってことはアスファルトも広い、直射日光を遮るものもない。こんなときに晴天。無駄に晴天。ダメな晴天。たちまち気温は36℃。体感温度はそれ以上。
「暑ちぃ、死ぬぅ。」
大量の水と大量のアミノバイタルが生命線だ。本日の宿まで、後5キロ、ついに温度計が37℃になった。
「もうユ・ル・シ・テ・・・」
朦朧としてホテルに倒れ込んだ好一だった。
最終日、外は雨。憂鬱な雨。
しかし、15時5分のジェットスターに乗らなくてはならない。これを逃すと2日後だ。朝食は7時からだが、時間前にレストラン入口に仁王立ち。無言の圧力が伝わったのか、フライングで食べさせてくれたのだ(^O^)v
本日は庄内空港までの91キロ。雨の中、さあ出発だ!
しかし、15時5分のジェットスターに乗らなくてはならない。これを逃すと2日後だ。朝食は7時からだが、時間前にレストラン入口に仁王立ち。無言の圧力が伝わったのか、フライングで食べさせてくれたのだ(^O^)v
本日は庄内空港までの91キロ。雨の中、さあ出発だ!
寒河江からはR112をひたすら鶴岡へ向かえばよいだけだが、月山の峠越えが読めない。月山といえば夏スキーのメッカ。険しい峠越えが待っているに違いない。走り始めて1時間、道の駅にしかわで小休止。ここで、なにやら怪しげな表示を発見。
「R112、この先歩行者、自転車通行禁止」
ん?この道は国道だよ。
なぜ通行禁止???
なぜ通行禁止???
まあ、迂回路があるでしょ。
ということで、再び月山湖に向かって走り始めた。8キロほど坂を登るとやっと月山湖に到着。ここで衝撃の新事実!
「この先歩行者、自転車通行禁止。鶴岡方面はR458へ迂回」
直進すれば残り64キロ、飛行機に間に合う。迂回すると今まで登ってきた坂を降りて別の峠越えの110キロ。15時の飛行機には間に合わない。こういう大事な事は早く言ってよーーーー。
しばし考察・・・。
「よし、見なかったことしよう。」
大丈夫、首都高を走る自転車だっているんだから、こんな山の中バレやしないって。いや、そもそも見てないんだから、仕方がない。
お巡りさん、ごめんなさい。
これから看板見逃しちゃって自動車専用道に迷い込んじゃいます。
これから看板見逃しちゃって自動車専用道に迷い込んじゃいます。
そう、決心した好一は雨の中を突き進んだ。高速月山ICが近づいて来ると、これでもかと「歩行者、自転車通行禁止」看板が多くなる。だが、好一には見えていない!
月山ICでR112と合流すると、ここから先は自動車専用道路だ。幸い、料金所や監視所はないようだ。更に、道路標識が多くなってきた。
「ニホンゴ、ムズカシイネ。」
「ニホンゴ、ムズカシイネ。」
高速と合流すると交通量は急に多くなった。上り勾配もきつくなり、トラックも多い。侵入してから約5キロ。黄色いパトライトをつけたライトバンが前方を塞ぐように停まった。
ドキッ!
若いお兄さんが降りてきた。
「ここは自動車専用道路ですよ。自転車で走れませんから戻って下さい。」
「えっ、それは気が付きませんでした。最近老眼が酷くて看板の字が良く見えないんですよ。ユルシテクダサイ。」
「ここは自動車専用道路ですよ。自転車で走れませんから戻って下さい。」
「えっ、それは気が付きませんでした。最近老眼が酷くて看板の字が良く見えないんですよ。ユルシテクダサイ。」
おとぼけ作戦。
「ダメです。」(キッパリ)
「ええっ、そんなご無体な。(泣)私は千葉から4日掛けてこの素晴らしい山形に来ました。今日は最終日、庄内空港に3時までにつかないと飛行機が行ってしまうのです。それを逃すと2日後なんです。どうか、ここは見逃して貰えませんか?」
泣き落とし作戦。
「ダメです。」(キッパリ)
「雨も強いし、もう結構走ってきてしまいました。ここはどうか見なかった事にして貰えませんか?」
外国映画ではここで100ドル紙幣を胸ポケットにねじ込み、ウィンクすれば解決するはずであるが、汗まみれのカロリーメイトと飲みかけ水では逆効果になりそうだ。
「いやいや見つけてしまったものは見逃せません。上を見てご覧なさい。あちこちにカメラがあってすぐに分かるようになっているのです。」
チッ、最初からバレていたのかっ!
しばし、無言
「あなたの仕事熱心ぶりはよくわかりました。しかし、このまま自転車で下っても自動車専用道路を自転車で走ってしまうことになります。その間に私が事故にあったらあなたにも責任が及ぶかもしれません。おおっ、よく見るとこのライトバンには私の自転車が乗るだけのスペースが有るようだ。どうでしょう、この車に自転車を乗せて峠の先まで運んでいただければあなたの目的も達成できますし、私も飛行機に乗れます。」
しばし、無言
「わかりました。あなたの情熱に負けました。峠の先までお送りしましょう。」
「おお、ジーザス!」
「おお、ジーザス!」
こうして、好一は自転車ごと道路パトロールの車に乗り月山峠を越えたのであった。
車で走るとトンネルが長くて細くて下り坂がきつい事がわかった。しかも雨。相当危険なので、これを読んだ良い子は絶対に自転車で走ろうと思わないことだ。
車で走るとトンネルが長くて細くて下り坂がきつい事がわかった。しかも雨。相当危険なので、これを読んだ良い子は絶対に自転車で走ろうと思わないことだ。