The薪放題2025
- 2025年2月9日
今年も開催しました、「The薪放題」。
自分で割った薪は持ち帰り自由という、薪ファンにはたまらない夢のような企画です!毎年寒い時期に1回から2回、もう10回ぐらい開催している空の湯定番イベントです。
スペースや安全上の点から参加者は5組限定。直ぐにいっぱいになってしまったのであまりPRしていませんでした。見逃した方、ごめんなさい。
今年から作業場が舗装され、手押しカートが使えるので作業性が大幅に向上。重機と参加者の動線も交わる事がなく、安全性も高まりました。
「軽トラでは乗り切らない!」とトラックをレンタルする者、車2台で参加する者、いえいえ2往復する者、各自やる気まんまんです!
当日は今季一番の寒波でしたが、斧を振り上げる額には汗が滲んでいました(笑)
さて、そこまでしてゲットした薪の用途はストーブやBBQ、ピザや陶芸なんて用途もあるかもしれません。とてもエコなイメージの反面、「木の伐採は森林破壊じゃないの?」という声も聞こえてきます。今回はこの辺のウンチクを少々させていただきます。
確かに木を燃やせばCo2は排出されますが、成長する過程でCo2を溜め込んでいるので、それを燃やしてもプラマイゼロ。という理屈もあるようですが、ポイントはそこじゃないと筆者は考えます。
日本は先進国の中では森林率第3位、世界有数の森林大国です。人が植林をして作った人工林はそのうちの4割にものぼり、その多くが戦後の復興時に伐採されて植林、成長の早い「杉」が好んで植えられました。野菜や果物でも食べ頃があるように、木にも“使い頃“があり、杉の場合は40年から50年と言われています。
「100年、200年、1000年越えの杉だってあるじゃん!」
確かにありますが、そんなものは極少数。スギ界の大谷翔平みたいなものです。みなさんだって同じ人間だからといってフィフティ・フィフティも160キロのストレートも投げられませんよね? 普通の杉は収穫期を過ぎると成長も鈍り病気になりやすくなり、やがて倒れてしまいます。この辺も人や動物と同じです。
更に、木が健康に長生きするには山の環境が大事になります。下草刈りや、間伐、枝打ちなど人の手による管理が欠かせません。それを怠れば商品価値の無いような木ばかりになってしまうのです。
ここ、千葉県は東京に近いという立地もあって戦後復興にたくさんの木が使われ、植林されてきましたが他の産業も栄えた為、山の手入れをする人は少なくなって多くの山は放置されたまま今に至っています。想像してみて下さい。会社勤めなら毎月お給料が貰えます。農業は収穫時期。林業は・・・子供か孫の代ですかね。筆者も小さい頃に一度植林を手伝った記憶がありまして「金に困ったときは、この木を売って凌ぐんだぞ。」と言われた事を覚えています。しかし、その後なんにもして来ませんでしたので今は痩せた杉が立っているだけです。今のような環境意識があれば手入れもしていたんですが・・・。
このような不健康な森はCo2も大して吸収しないうえに、里山としての機能も失われ、現在は花粉製造マシンと化して人々を苦しめております。
この放置林は国も問題視しており、令和6年から始まった森林環境税の目的の一つです。放置林を復活させることはできないので、一度全部きれいに伐採して再造林する方法しかありません。しかし、お金にならない木を誰が切るでしょうか・・・。
そこで考えたのが、小規模少投資で森林資源を活用する事。
木材加工は設備産業です。大きな工場で規格に適した丸太から建材を大量に作り出した方が生産性は高いですし、近年はプレカット工法が殆どで、自分で墨付けや刻みをする大工さんは極わずか。ただでさえ地木は使われにくくなっています。そこで、弊社では設備投資や人件費を抑えて小じんまりと融通が効く製材加工所を設けました。そして建材として使える部位は地元の大工さんに柱や板を安価で供給しています。
とはいうものの、建材にならない部分が大量に発生します。放置された人工林に勝手に生えてきた雑木(ぞうき)もその一つです。うまく加工すれば立派な建材や家具になるかもしれませんが木の特性を見て加工する大工さんが少ないのでなかなか利用は難しい。
と、そこで最後の手段、薪として燃やしてエネルギーとして活用する方法です。
この壮大なスキームの中に組み込まれているとは知らずに、参加者たちはせっせと斧を振るってくれました。
その成果は、それぞれの車いっぱいに積み込まれた薪が物語っております。この後は温泉で疲れた体を癒やして下さい。
お疲れ様でした♪